水と空気

2026.10.17

酸化と還元とは。酸化還元電位(ORP)の読み方

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  1. 1. 酸化とは、還元とは
  2. 2. 酸化還元電位(ORP)という目盛り
  3. 3. 「酸化すると電気を帯びる」のか
  4. 4. 身のまわりの酸化と還元
  5. 5. 出典

「酸化」「還元」「酸化還元電位」。言葉はよく目にしますが、 もとをたどると、どれも電子のやりとりという一つのことを言い換えたものです。 ここでは、その仕組みと目盛りの読み方を、図でご説明します。

1. 酸化とは、還元とは

酸化と還元は、電子をどちらにわたしたかで決まります。

  • 電子をわたしたほうが、酸化された
  • 電子をもらったほうが、還元された

名前に「酸」が付いているので、酸素と結びつくことだと思われがちですが、 酸素がなくても起きます。大事なのは電子がどちらへ動いたか、です。

酸化と還元は、電子のやりとり

図1 電子を「わたす」と「もらう」
電子のやりとりが、酸化と還元物 A電子をわたす物 B電子をもらうe電子酸化された(還元剤)還元された(酸化剤)

酸化と還元は、いつも対で起きます。どちらか片方だけでは起きません。電子をわたした物が「酸化された」、受け取った物が「還元された」。 このとき、相手を還元した A のほうを還元剤、相手を酸化した B のほうを酸化剤と呼びます。 さびる・こげる・いたむ、と呼ばれる変化は、どれもこの「電子をわたす側」になった状態です。

2. 酸化還元電位(ORP)という目盛り

では、その「電子をわたしたい・もらいたい」という傾向の強さは、どう表すのでしょうか。 それが酸化還元電位(ORP。Oxidation-Reduction Potential)です。 単位は mV(ミリボルト。1mV は 1000分の1ボルト)です。

測り方は pH を測るのとよく似ていて、白金などの電極と比較電極を使います。 基準は標準水素電極で、これを 0V と決めて、そこからどれだけ離れているかを表します (HORIBA の解説)。温度で値が動くため、25℃などに揃えて測るのが前提です。

実際の値の例としては、日本原子力研究開発機構が幌延の深さ350mの坑道で測った地下水で、 pH 6.2〜7.0、Eh(酸化還元電位)が −270〜0mV という記録があります。 地下の深いところは空気に触れないため、マイナス側=還元のほうに寄ります。

強さを表す目盛りが、酸化還元電位(ORP)

図2 マイナス側が還元、プラス側が酸化
酸化還元電位の目盛り← 還元力が強い(電子をわたす側)酸化力が強い →(電子を奪う側)-800-4000+400+800単位:mV(ミリボルト)深さ350mの地下水 −270〜0mV(原子力機構)

ORP は、その液体が相手を酸化しやすいか、還元しやすいかを電位で表した目盛りです。 ただし ORP は中にある酸化・還元する物すべての釣り合いで決まるため、ORP の数字だけで「何が入っているか」は分かりません(HORIBA の解説)。 強さの向きを表す目安として読むものです。

3. 「酸化すると電気を帯びる」のか

ここは、よく混ざるところです。酸化は電子を失うことですから、電気の話であるのは確かです。ORP も、実際に mV で測る電圧です。

ただ、同じ「ボルト」という単位で呼ばれるものが、二つあります。 そして、この二つは別の量です。

酸化還元電位(ORP)帯電圧(静電気)
何を表すか電子をわたしたいか・もらいたいかの傾向実際に溜まった電気の偏り
単位と大きさmV(1000分の1ボルト)。おおむね −800〜+2200mVkV(1000ボルト)。湿度20%のカーペット歩行で 10kV 以上
全体で見ると釣り合っている。電子は相手にわたっているので、液体全体は中性のまま偏っている。片側に余っているので、たまると放電する
手で触ると何も起きないパチッとくる

ORP が −800mV の水に手を入れても、電気は来ません。電子は相手の物質にわたっていて、 水全体では釣り合っているからです。一方、静電気は偏ったまま残っている状態です。 桁でいうと、おおよそ100万倍ちがいます。

ですから、酸化したからといって、物がまとまった電気を帯びるわけではありません。ほこりが集まって綿ぼこりになる仕組みは、こすれて電子が偏った静電気で説明されます。 酸化は、そのきっかけにはなりません。

※ ほこりが固まって落ちるまでの流れは、「ほこりとは何か。ハウスダストになるまで」でご説明しています。

4. 身のまわりの酸化と還元

住まいの中でも、酸化と還元はいろいろな顔で現れます。

  • 鉄がさびる ── 鉄が電子をわたして酸化された状態です。 外階段や手すりが赤茶色になるのは、これです。
  • 油がねばる ── 皮脂や調理の油が空気に触れて酸化すると、ねばりが出ます。 台所まわりのほこりが拭き取らないと落ちないのは、このためです。
  • 切ったりんごが茶色くなる ── これも酸化です。 レモン汁をかけると色が変わりにくいのは、先に電子をわたす物(=還元する側)を足しているためです。

つまり「還元する」とは、電子をわたす側を用意することです。 酸化を打ち消したいとき、どこかから電子を補う必要がある、という話になります。

※ この記事は、酸化と還元の仕組みをご説明するものです。 病気や体への影響について述べるものではありません。

5. 出典